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ChemAIRS V3.1「安全・コスト・グリーン」まで見据えて、合成ルートを選べるAIへ

Patcore

ChemAIRS V3.10.0 Release

AI逆合成ツールに求められる役割は、「ルートを提案すること」から「実際に採用できるルートを素早く選べること」へと広がっています。候補が何十本と並んでも、危険な条件や使えない原料が混ざっていたり、コストの根拠が見えなかったりすれば、最終判断は結局、化学者の手作業に戻ってしまいます。

新リリースV3.10 は、この「選ぶ」工程に焦点を当てたアップデートです。本記事では、創薬・プロセス化学の現場で効果の大きい5つの目玉機能を、実際の画面とあわせて紹介します。

29

新機能・改良の総数

6

対象モジュール

50+

ファーマコフォア設計で選べる反応タイプ

.cdxml

ChemDraw® 形式でのルート出力

AI逆合成プラットフォーム ChemAIRS の最新版 V3.10.0 では、ファーマコフォアに基づく化合物ライブラリ設計モードを新たに搭載しました。あわせて、危険な反応条件の事前除外、材料費の内訳表示、ChemDraw 連携など、ルート設計から実験準備までを短縮する改良を29項目にわたって加えています。

 

Forward Synthesis NEW

ファーマコフォアから、合成可能な化合物ライブラリを設計

順合成(Forward Synthesis)の化合物ライブラリ生成に、ファーマコフォアに基づく設計モードが加わりました。目的のファーマコフォア構造を起点に類縁体を設計し、創薬らしい物性を備えた分子群を生成します。

パラメーター設定画面。左で最適化目標・ステップ数・反応タイプ、右で分子量や LogP などの物性範囲を指定します。

最適化目標 構造類似性/ファーマコフォア/両者の組み合わせ から選択
反応ステップ数 1〜6 ステップで上限を設定
反応タイプ 50種類以上から選択(Suzuki–Miyaura カップリング、Buchwald–Hartwig アミノ化 など)
物性フィルター 分子量、HBD、HBA、LogP、TPSA、回転可能結合数

メリット:「活性を狙える構造」と「実際に合成できる経路」を同時に満たす候補を、設計段階から絞り込めます。反応タイプとステップ数を自社の得意な化学に合わせることで、机上の分子ではなく作れる分子のライブラリになります。

Retrosynthesis · Process Chemistry

安全性とグリーンケミストリーを、探索の「前」に組み込む

結果を見てから危険なルートを手作業で外すのではなく、探索条件として最初から指定できるようになりました。


使用を避けたい出発原料は除外リストで一元管理。いつでも確認・解除できます。


酵素触媒ステップを含むルートを優先表示した例。条件・手順・文献をその場で確認できます。

危険な反応条件を事前に除外

高圧反応などの特殊条件を、条件タイプごとに「含める/除外/指定なし」の3段階で設定できます。

出発原料の使用禁止マーク

感作性物質などを右クリックで無効化すると、以降のルート推奨から自動的に除かれます。

酵素触媒ルートを優先

プロセス化学で、酵素触媒ステップを含むルートを上位に表示。持続可能なプロセス設計を後押しします。

貴金属触媒・電気化学を可視化

文献欄に Au/Pt/Pd などの触媒タグを表示。条件検索には「電気化学」タグとフィルターを追加しました。

メリット:EHS(環境・健康・安全)の社内基準を探索条件そのものに反映できるため、レビュー段階での差し戻しが減り、スケールアップを見据えたルートを早い段階から検討できます。

Retrosynthesis

コストと反応条件が一覧で見え、ルート比較が速くなる

数十本のルートを1本ずつ開いて確認する必要はもうありません。判断に必要な情報が、ルート一覧の段階で手に入ります。


総合コストにカーソルを重ねると、材料費とそれ以外(人件費・設備費など)の内訳が表示されます。

材料費の内訳表示

製品 1 kg 合成あたりの原料コストを「材料費」として総合コストと分けて表示します。

ツリー表示で反応条件を確認

代替ルートのツリー表示に各ステップの条件サマリーを掲載。詳細は大きなポップアップで確認できます。

共通中間体ごとのステップ数

共通中間体の各サブルートに「Route A ・5 steps」のように総ステップ数を表示します。

「使わない反応」を全ルートに一括反映

1つの反応を Dislike にすると、反応フィンガープリントで同一反応を照合し、該当ルートをまとめて折りたたみます。


Dislike 登録した反応を含むルートは削除されずに折りたたまれ、元の並び順も保たれます。

メリット:コストの根拠、条件、ステップ数を同じ画面で比べられるため、ルート選定の会議や上長への説明がスムーズになります。不要な反応の除外も一度の操作で済みます。

Export · Integration

ChemDraw・ELN とつながり、検討結果をそのまま実務へ

ChemAIRS で得たルートを、普段使っているツールや資料にそのまま持ち出せるようになりました。

エクスポート時に「全データ」か「原料+生成物のみ」を選択。

ChemDrawで開いた例。上が全データ、下が原材料と生成物構造のみ。

.cdxml(ChemDraw XML)出力

20ステップを超えるルートでもノード順と階層を保持したまま出力します。

マップ表示を PDF/SVG で出力

200〜1,000ノードの大規模マップも非同期で書き出し。ポスター印刷や複数ルートのオフライン比較に使えます。

原料リストに化合物名を追加

JSON/CSV 出力に「化合物名」列を追加。手作業での名称照合が不要になります。

ELN のユーザー定義項目

ELN 連携テンプレートにパーセント入力の項目を追加し、スライダーで絞り込めます。

メリット:報告書・社内レビュー資料の作成や、電子実験ノートへの記録にかかる転記作業を減らせます。複数化合物を Shared Path Finder へワンクリックで送る機能も追加され、関連化合物の共通経路探索もすぐに始められます。

Impurity Prediction · System

不純物予測の絞り込みと、全モジュール横断のタスク管理


不純物予測:信頼度スコア(0〜100)のしきい値スライダーで、結果をリアルタイムに絞り込み。各カードには分子式も表示されます。


タスク管理センター:逆合成・順合成・プロセス化学・条件検索のタスクを右パネルに集約し、ステータスを一括把握。

メリット:信頼度の高い不純物候補に集中して分析できるほか、複数の計算を並行して走らせても進捗を見失いません。ステータス変化は2秒以内に同期され、削除・アーカイブなどの操作も各モジュールに反映されます。

Who benefits

役割別に見る V3.10.0 のメリット

役割 主な関連機能 得られる効果
メディシナルケミスト ファーマコフォア設計、物性フィルター、分子式表示 合成可能性を担保した類縁体ライブラリを短時間で作成
プロセスケミスト 酵素触媒優先、危険条件の除外、材料費内訳 安全性・環境負荷・コストを踏まえたルートを早期に選定
分析・品質 不純物スコアしきい値、分子式表示 信頼度の高い不純物候補に絞ってNMR・質量分析と照合
研究マネージャー/IT タスク管理センター、ELN 連携、オンプレミスでの最大ルート数設定 チームの計算状況の把握と、社内システムとの連携・運用設定
 

Full changelog

V3.10.アップデート一覧

逆合成

  • マップ表示の PDF/SVG 出力
  • Dislike 反応の全ルート自動マーク・非表示
  • 貴金属触媒タグの表示
  • 共通中間体のサブルート別ステップ数
  • 材料費の内訳表示
  • ユーザー定義項目の表示・フィルター
  • 検索結果なし時の案内改善(CAS番号)
  • .cdxml カスタム出力
  • 原料リスト出力への化合物名追加
  • 部分構造検索の履歴・お気に入り・一括DL
  • 出発原料の使用禁止マーク
  • 反応条件の除外フィルター
  • Shared Path Finder へのワンクリック送信
  • ツリー表示での反応条件表示
  • 化合物の分子式表示

順合成

  • ファーマコフォア創薬設計モード(新規)
  • 物性表示の段階化(コア項目+詳細)
  • 「Rule-based」反応タイプの追加
  • 反応部位の一括選択/解除

システム 

  • 初回ログイン時の言語・通貨の自動設定
  • 言語・通貨切替時の確認表示
  • タスク管理センターの刷新
  • AI画像認識コンポーネントの統一

条件検索 

  • 反応部位リスクの解説ツールチップ
  • 「電気化学」タグとフィルター

プロセス化学

  • 酵素触媒ルートの優先表示
  • 最大ルート数の管理者設定(オンプレミス、1〜100)

不純物予測

  • 信頼度スコアのしきい値スライダー
  • 結果カードへの分子式表示

V3.10.0 を、自社のターゲット分子で試してみませんか

新機能の効果は、実際の化合物で使ってみると最もよく分かります。デモやトライアルでは、次のような観点でご確認いただけます。

  • 自社の安全基準(除外条件・禁止原料)を反映したルート探索
  • ファーマコフォア設計による類縁体ライブラリの生成
  • ChemDraw・ELN など既存ツールとの連携イメージ

デモ・トライアルのご相談は、「問い合わせ」よりお問い合わせください。

執筆者:Patcore

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