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メディスン開発センター サイトマネジメント統括部 筑波サイトマネジメント部 業務推進室 アソシエートディレクター 広瀬 治 様 |
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Plexus Connect Webベースの創薬研究基幹システム※
※生物系などの情報(法規制・成分など)管理に利用
化学物質の取り扱いに関する法規制が強化されるなか、化学物質の合成、化合物の購入および輸出入を含む授受などを実施する前に法規制の有無を判断する必要性が高まってきた。
合成実験前の法規制確認作業を確実に実施できるようにする為、CRAIS Checkerと電子実験ノートを連動し、実験計画の段階で強制的に自動チェックを行う仕組みを導入した。これにより、研究者に負担をかけることなく、法規制チェックが合成業務フローに組み込まれ、違反を心配せずに実験ができるようになった。また、実験に用いる試薬類も一緒にチェックすることで、法規制情報を研究者に提示し、注意喚起が行えるようになった。
CRAIS Checkerの導入と並行して、クライアントサーバー型の試薬管理システムからWebアプリケーションのCRAIS Reagentに更新を行いCRAIS Checkerと連動させた。これにより、試薬マスターへの構造登録時の自動法規制チェックや法改正時にすべての試薬情報を一括チェックして試薬マスターの法規制情報を最新に保つ作業がより確実・迅速に行えるようになった。
また、CRAIS Reagentでは生物系試薬の管理も化学系試薬同様に、法規制情報を紐づけて適切な管理・発注が行えるようになった。
化学物質管理法規制の中には、例えば消防法のように、化学構造式から特定することができない種類の法規制がある。このため、各試薬メーカーのホームページを調査して、法規制情報を確認する作業が必要になる。ところが、ホームページ掲載データのみでは、指定数量管理で必要になる水溶性・非水溶性の区分が明確になっていないケースがあった。また、生物系の法規制の内、カルタヘナについては、国内試薬メーカーのホームページ情報のみでは取得できないケースが多かった(カルタヘナについては、議定書を批准していない国からの試薬は特に不明確であった)。このため、各試薬メーカーから詳細な法規制情報を含む試薬カタログデータを個別に収集・整形し、試薬カタログデータベースに適用する膨大な作業が必要であった。また、試薬カタログデータに化学構造式が提供されていないケースでは、高額な商用試薬カタログデータベースを利用することが必須であった。
そこで、国内試薬メーカーの構造式と法規制情報付きの試薬カタログコンテンツの必要性を強く認識し、試薬業界やCRAIS Reagentのユーザー会で呼びかけた。その結果、医薬品開発の効率化と生産性向上が促進され世界中の患者様により早く新薬をお届けするという共通の目的に、主要試薬メーカー様からご賛同をいただき、パトコアを通してコンテンツが提供されるに至った。
SMARTSの導入により、消防法やカルタヘナなどの法規制情報を容易に確認できるようになり、コンプライアンス遵守を推進できるようになった。また、各試薬メーカーの試薬カタログ情報が1種類のフォーマットに統一され定期的にアップデートが提供されるようになった為、これまで大変な労力を要した試薬カタログデータベースの更新作業が各段に容易になった。さらに、生物系試薬に含まれる法規制成分の成分名、含量、法規制情報を提供している一部の試薬メーカーの情報が含まれるSMARTSをWebベースの参照システムPlexus Connectから参照できるようにしたことで、生物系試薬の成分確認が容易になった。そのうえ、高額な商用試薬カタログデータベースからSMARTSに置き換えることで、データベース利用料の大幅な低減も実現することができた。
「ヒューマン・ヘルスケア (hhc=human health care)」のエーザイ
エーザイは、ヘルスケアの主役が患者様とそのご家族、生活者であることを明確に認識し、そのベネフィット向上を通じてビジネスを遂行することに誇りを持ちたいという思いを、「hhc」という言葉に集約しました。そして、今なお十分な治療法が確立していない疾病が多くある「神経領域」と「がん領域」を重点領域として研究開発資源を集中的に投入し、これらの領域を中心に有用性の高い新薬を生み出す努力を続けています。下記の図は、グローバルに展開するエーザイの創薬研究拠点を表しています。
https://www.eisai.co.jp/company/business/research/structure/index.html